「池袋線ばっかり」西武新宿線株主の不満炸裂 西武HD株主総会で2大路線間の対立鮮明化
鉄道会社では沿線住民が株主となっていることが多い。そのため株主総会は時として会社の業績よりも鉄道の利便性の向上を求める場となる。
6月21日に埼玉県所沢市内で開催された西武ホールディングス(HD)の株主総会でも、質問に立った14人の株主のうち、業績や経営計画に関する質問を行ったのはわずか2人だけだった。
やっぱり出た、プロ野球の質問
鉄道の利便性や安全性に関する質問や株主優待に関する質問が続いた後、議長を務める後藤高志社長から「これが最後の質問」として指名された株主は、「西武HDの純利益は2015年度が572億円、2016年度が475億円」と数字を出して質問を始めた。
業績に関する質問がこれで3つになるかと思ったら違っていた。
「西武の純利益は楽天に似たレベルだ。しかし楽天イーグルスは外国人選手の獲得がスムーズにいっている。西武は選手強化の取り組みが不十分。これは球団ではなくグループ全体の問題だ。西武HDはライオンズのためにもっとおカネを使うべき。選手補強のためにあと10億円使ってもよい」
鉄道会社がプロ野球チームを保有している場合は、チーム運営に関する質問も必ず出る。
居郷肇球団社長は「選手寮や屋内練習場など選手の育成環境の整備を検討している」と穏当に回答したが、後藤社長は、「ライオンズの選手の平均年俸は楽天よりも高い」と付け加えた。
今回の株主総会では池袋線と新宿線における住民感情の違いが浮き彫りになった。
池袋線では2015年に大泉学園と練馬高野台付近の連続立体交差事業が完了、踏切がなくなり渋滞が解消された。今年3月からは「Sトレイン」という有料座席指定列車の運行が始まり、2019年には地上20階建てのビルを池袋に建設し本社が移転するという計画もある。
こうした取り組みが新宿線沿線の株主には池袋線への偏重と映るようだ。ある株主は「池袋線ばかりでなく、新宿線にも力を入れてほしい」と訴えた。
池袋線に関する質問は、「沿線のアニメ産業ともっと連携すべきではないか」という1問だけ。それに引き換え、新宿線に関する質問は次から次へと飛び出した。
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